ハリマ化成グループ(4410)は低PBRのパインケミカル銘柄|鍵を握るLAWTER正常化を徹底分析【2026年5月】

ハリマ化成グループ4410の銘柄分析を表すブログサムネイル。松やに、ロジン、化学実験器具、製紙設備を背景に、パインケミカル事業と低PBR銘柄としての特徴を表現。 株式・経済

ハリマ化成グループ(4410)は、松(パイン)から得られるロジン・脂肪酸・テレピンを原料とする「パインケミカル」を主力とする化学メーカーです。事業は、製紙用薬品(紙力増強剤・サイズ剤)、樹脂・化成品(インキ・塗料・接着)、電子材料(はんだ・機能性樹脂)、そして海外樹脂事業のLAWTERという4つの柱で構成されています。

2026年3月期決算では、売上高1,037.63億円(前期比2.7%増)と小幅な増収にとどまった一方、営業利益32.83億円(同57.6%増)、経常利益29.96億円(同125.2%増)、純利益23.45億円(同207.5%増)と、利益が大きく改善しました。販売数量とミックスの改善、為替の追い風が利益を押し上げた決算です。

ただし、本銘柄を分析するうえで重要なのは、PBR(株価純資産倍率)が約0.67倍と1倍を大きく下回っている点です。市場は、資産価値を一定程度評価しながらも、収益性の持続性には懐疑的だと考えられます。そして、その低評価の中心にあるのが、売上規模は大きいのに営業利益がほぼゼロのLAWTER(海外樹脂)事業です。

本記事では、4セグメントの収益格差(マージン8.8% vs 0.1%)、利益改善の中身、LAWTER正常化がもたらす利益改善余地、そしてAI半導体時代に同社が取り込めるニッチ(後工程・実装材料)を整理します。なお、本記事中の数値はすべて2026年5月時点の公開情報に基づきます。


本記事の構成

ここからは、ハリマ化成グループの基本指標、事業モデル(パインケミカル)、FY2026実績の中身、4セグメントの明暗、LAWTER正常化という利益改善余地、エコノミック・モートの分析、AI半導体時代のニッチ、FY2027ガイダンス、投資判断のポイントを順に整理します。


    1. 本記事の構成
  1. 1. 主要指標|「低PBR」という現在地
    1. 主要指標
    2. 現在地の捉え方
  2. 2. 事業モデル|「松やに」から始まるパインケミカル
    1. ハリマ化成グループの4セグメント
    2. 「松やに」という独特の事業基盤
    3. 海外売上比率の高さ
  3. 3. FY2026実績|「小幅な増収、大きな増益」の中身
    1. FY2026実績の概要
    2. 営業利益の増減を分解する
    3. 「経常・純利益」の急増には注意が必要
  4. 4. セグメント別の明暗|「製紙が稼ぎ、LAWTERがほぼゼロ」
    1. セグメント別の収益性(FY2026)
    2. この明暗が示すもの
    3. 3期で見るセグメントの推移
  5. 5. LAWTER正常化|「眠っている利益改善余地」という投資論点
    1. なぜLAWTERが鍵なのか
    2. 「眠っている利益改善余地」とは
    3. 低PBRとの関係
  6. 6. エコノミック・モートの分析|「限定的だが粘り強いモート」
    1. モートの性質
    2. 強いモート:スイッチングコスト
    3. 弱いモート:規模の経済
    4. モート分析の結論
  7. 7. AI半導体時代のニッチ|「成長の種はあるが、利益貢献はまだ限定的」
    1. ハリマ化成グループが取り込めるパイ
    2. なぜパイが生まれるのか
    3. 「成長の種はあるが、利益貢献はまだ限定的」
  8. 8. 財務とキャッシュフロー|「キャッシュ創出力は健全」
    1. 財務の健全性
    2. キャッシュフローの「質」
  9. 9. FY2027ガイダンス|「増収増益」計画の見方
    1. FY2027会社予想
    2. ガイダンスの見方
  10. 10. 投資判断のポイント|「低PBRの理由を解消できるか」
    1. 投資判断の3つの軸
      1. 軸1:「PBR0.67倍」をどう捉えるか
      2. 軸2:時間軸の選択
      3. 軸3:ポジションを見直す目安
  11. 11. 四半期チェックリスト|「4つの監視軸」
    1. 必ず確認すべき4つの軸
  12. まとめ|ハリマ化成グループは「松やに」の低PBR銘柄、鍵を握るLAWTER正常化
    1. 銘柄の本質
    2. 整理ポイント
    3. 核心メッセージ
    4. 現在の株価水準をどう見るか

1. 主要指標|「低PBR」という現在地

主要指標

指標数値備考
株価(2026年5月時点)各証券会社の画面でご確認ください
PBR約0.67倍1倍を大きく下回る
PER約11倍
配当利回り約3.9%年42円
ROE(FY2026)約6.0%
自己資本比率39.7%前期37.3%から改善
EPS(FY2026)96.56円前期31.46円
信用格付(JCR)BBB+/安定的

(出典:ハリマ化成グループ2026年3月期決算短信、みんかぶ、JCR、2026年5月時点)

現在地の捉え方

ここで押さえておきたいのは、ハリマ化成グループのPBRが約0.67倍と、1株当たり純資産を下回る水準で評価されている点です。PBRが1倍を割れているということは、市場が「保有する資産の価値ほどには、将来の収益力を評価していない」状態を示しています。

これまでDaily Compassシリーズで取り上げてきたKOA(抵抗器)やローム(電力半導体)と同様、ハリマ化成グループも「成長分野(半導体実装材料)を持ちながら、その分野の収益性がまだ薄い」という構造を抱えています。本記事では、この低PBRの理由を「4セグメントの明暗」と「LAWTERの収益性」という2つの視点から見ていきます。


2. 事業モデル|「松やに」から始まるパインケミカル

ハリマ化成グループの4セグメント

ハリマ化成グループは、松やに、すなわちロジンを核とするパインケミカルを基盤に、4つの事業を展開しています。

セグメント主な製品特性
製紙用薬品紙力増強剤、サイズ剤安定したキャッシュ創出
樹脂・化成品インキ・塗料・接着用樹脂レシピ・顧客対応が強み
電子材料はんだ、フラックス、機能性樹脂成長分野だが収益性は薄い
LAWTER(海外樹脂)海外向け樹脂売上は大きいが利益はほぼゼロ

(出典:ハリマ化成グループ会社概要、2026年5月時点)

「松やに」という独特の事業基盤

この構成から見えてくるのは、ハリマ化成グループが「松やに(ロジン)を変性・精製する技術」を核に、複数の産業へ展開する化学メーカーだということです。ロジンは、金属の酸化物を還元する性質などを持ち、その性質を生かして、はんだ付け材料(ソルダーペースト・フラックス)などが開発されてきました。

なかでも特徴的なのは、ロジンが再生可能(バイオマス)な原料だという点です。環境規制やESGの観点から、紙パッケージのコーティングなど、再生可能素材への需要が追い風となる可能性があります。これは、半導体とは別の「時代の需要」を生み出す要因です。

海外売上比率の高さ

加えて、ハリマ化成グループは海外売上比率が約59%と高く、為替の影響を受けやすい構造です。円安は利益にとって追い風、円高は逆風となります。FY2026の利益改善にも、為替の追い風が寄与しました。


3. FY2026実績|「小幅な増収、大きな増益」の中身

FY2026実績の概要

指標金額前期比
売上高1,037.63億円2.7%増
営業利益32.83億円57.6%増
経常利益29.96億円125.2%増
純利益23.45億円207.5%増
EPS96.56円前期31.46円

(出典:ハリマ化成グループ2026年3月期決算短信、2026年5月時点)

営業利益の増減を分解する

投資判断上、重要なのは、利益がなぜ大きく改善したのかという中身です。営業利益の増減要因(ブリッジ)を分解すると、次のようになります。

要因影響額
販売数量・ミックスの改善+17.12億円
製造経費等-8.12億円
販管費+1.71億円
為替影響+1.29億円

(出典:ハリマ化成グループ2026年3月期決算短信、2026年5月時点)

ここから分かるのは、営業利益の改善が「販売数量・ミックスの改善(+17.12億円)」と「為替の追い風(+1.29億円)」によって牽引された一方、製造経費の上昇(-8.12億円)という逆風を吸収した結果だということです。本業の改善は確かに見られます。

「経常・純利益」の急増には注意が必要

ただし、経常利益(+125.2%)と純利益(+207.5%)の急増には、本業以外の要因も含まれています。

要因内容
持分法損益の反転前期の損失306百万円から、当期は利益496百万円へ
営業外収益の拡大673百万円から1,384百万円へ

(出典:ハリマ化成グループ2026年3月期決算短信、2026年5月時点)

別の角度から見れば、純利益の急増は「本業の改善」に加えて、持分法損益の反転という要因が重なった結果です。利益の「質」を見極めるうえでは、この持分法損益の改善が一時的なものか、構造的なものかを継続的に確認する必要があります。


4. セグメント別の明暗|「製紙が稼ぎ、LAWTERがほぼゼロ」

セグメント別の収益性(FY2026)

各セグメントの収益性を見ると、事業の明暗がはっきりと表れています。

セグメント売上高(百万円)営業利益(百万円)マージン
製紙用薬品28,7162,538約8.8%
樹脂・化成品21,4201,489約7.0%
電子材料13,718374約2.7%
LAWTER(海外樹脂)35,93138約0.1%

(出典:ハリマ化成グループ2026年3月期決算短信、2026年5月時点)

この明暗が示すもの

この収益構造が示しているのは、ハリマ化成グループが「製紙用薬品・樹脂で稼ぎ、LAWTERが売上規模のわりに利益をほとんど生んでいない」という構図です。

なかでも目を引くのが、LAWTERです。売上高35,931百万円とグループ最大の規模を持ちながら、営業利益はわずか38百万円、マージンは約0.1%にとどまります。一方、製紙用薬品はマージン約8.8%、樹脂・化成品は約7.0%と、安定した収益性を確保しています。

3期で見るセグメントの推移

各セグメントの過去3期の推移を見ると、それぞれの性格がさらにはっきりします。

セグメント営業利益の推移(百万円)評価
製紙用薬品1,548 → 2,123 → 2,538安定的に右肩上がり
樹脂・化成品211 → 410 → 1,489利益が大きく改善
電子材料582 → 382 → 374売上増でも利益は減少
LAWTER-1,675 → 622 → 38収益が大きく振れる

(出典:ハリマ化成グループ決算短信より、2026年5月時点)

ここから分かるのは、製紙用薬品が「安定収益の柱」として着実に伸び、樹脂・化成品が「利益改善の寄与が大きい事業」として改善する一方、電子材料は「売上は増えても利益が伴わず」、LAWTERは赤字、黒字、ほぼゼロと収益が大きく振れているということです。


5. LAWTER正常化|「眠っている利益改善余地」という投資論点

なぜLAWTERが鍵なのか

ここで重要なのは、LAWTERが「売上は大きいのに利益がほぼゼロ」という状態にある点です。これは、見方によって2つの解釈ができます。

見方解釈
リスクと見る売上規模が大きいだけの低収益事業がグループ全体の評価を抑える
機会と見る正常化すれば、営業利益の体格が大きく変わる利益改善余地

「眠っている利益改善余地」とは

LAWTERは、過去3期で営業利益が「-1,675 → 622 → 38」と大きく振れてきました。この変動の大きさは、裏を返せば、収益性が正常化した場合の利益改善余地が大きいことを示しています。

仮にLAWTERのマージンが、他の海外樹脂事業並みの数%まで回復すれば、売上規模が大きいだけに、グループ全体の営業利益を大きく押し上げる可能性があります。本記事で「眠っている利益改善余地」と呼ぶのは、この潜在的な利益レバレッジを指しています。

低PBRとの関係

このLAWTERの低収益性こそが、PBR0.67倍という低評価の中心にあると考えられます。市場は「LAWTERが利益を生まない限り、グループ全体の収益性は薄いまま」と見ているわけです。

言い換えれば、LAWTERの黒字が定着すれば、低評価の要因が薄れ、バリュエーションの見直しにつながる可能性があります。ただし、LAWTERの利益が「一時的な回復」なのか「構造的な改善」なのかは、慎重に見極める必要があります。


6. エコノミック・モートの分析|「限定的だが粘り強いモート」

モートの性質

ハリマ化成グループのエコノミック・モート(競争優位による参入障壁、いわゆる「経済的な堀」)は、広く深いものではありません。むしろ、特定の工程・素材領域において、スイッチングコストに支えられた限定的ながら粘り強いモートが成立していると考えられます。

モートの源泉内容
工程・レシピのノウハウロジンの変性・精製技術、ソルダーペースト等の配合
顧客のスイッチングコスト工程認証・品質保証・長期レファレンス
再生可能素材のポジションバイオマス由来素材への規制・ESGの追い風

強いモート:スイッチングコスト

ハリマ化成グループのモートが成立するのは、主にスイッチングコストです。電子・自動車・製紙のいずれの分野でも、ある素材が工程に組み込まれると、別の素材への切り替えには再評価・ライン条件の調整・品質クレームのリスクが伴います。特にはんだ・フラックスは、不良率・信頼性・洗浄性に直結するため、一度採用されると切り替えコストが大きくなります。

弱いモート:規模の経済

一方で、ハリマ化成グループのモートが弱いのは、規模の経済です。電子材料の営業利益率は約2.7%と薄く、大型素材メーカーやはんだ専業の強豪と競合する市場です。価格競争の影響を受けやすく、マージンを構造的に高く維持する力は限定的です。

モート分析の結論

この分析が示しているのは、ハリマ化成グループのモートが「製紙用薬品・樹脂では中程度に成立する一方、成長分野である電子材料ではまだ薄い」ということです。KOA・ロームの分析でも触れたとおり、化学・電子部品の分野では、技術や顧客基盤の強さが、必ずしも持続的な超過収益に直結するとは限りません。モートの強さは、最終的にマージンで証明されます。


7. AI半導体時代のニッチ|「成長の種はあるが、利益貢献はまだ限定的」

ハリマ化成グループが取り込めるパイ

AI半導体の時代において、ハリマ化成グループが取り込めるのは、半導体の前工程(ウエハー工程)の中核材料ではなく、主に後工程(パッケージング・実装)と、その周辺の樹脂です。

取り込めるニッチ内容
実装用はんだ・フラックス半導体パッケージ・基板実装に使用
半導体レジスト用樹脂前工程の周辺部に位置する
車載・熱管理向けブレージングEV・ADASの熱交換器など

なぜパイが生まれるのか

AI・高性能半導体が普及するほど、パッケージングが高度化し(高密度・高信頼性)、接合の信頼性・残渣・洗浄性・熱サイクル耐久が重要になります。ハリマ化成グループが強調する開発ポイントは、ちょうどこの領域に位置します。

実際、FY2026には、半導体レジスト用樹脂の売上が市況の好調を背景に増加したと会社が説明しています。中期経営計画「NEW HARIMA 2026」でも、電子材料の成長分野として「フォトレジスト用樹脂」「高耐久・高密度実装用はんだ」「パワー半導体用材料」を挙げています。

「成長の種はあるが、利益貢献はまだ限定的」

ただし、注意が必要なのは、これらが現時点で確立されたモートというより、今後の成長オプションに近い領域だという点です。電子材料セグメント全体の営業利益率は約2.7%と薄く、半導体関連の成長が、まだ十分な収益性として表れていません。

ここから分かるのは、ハリマ化成グループの半導体関連事業が「成長の種(売上)」としては存在する一方、「利益貢献」としてはまだ途上だということです。AIブームをそのまま「業績の急拡大」と捉えるのは慎重さを欠く可能性があります。


8. 財務とキャッシュフロー|「キャッシュ創出力は健全」

財務の健全性

ハリマ化成グループの財務は、安定した状態にあります。

指標FY2026評価
自己資本比率39.7%前期から改善
流動比率約1.30倍短期支払能力は確保
営業キャッシュフロー+78.59億円会計利益を上回る現金創出
フリーキャッシュフロー約+42.79億円配当を賄える水準
インタレスト・カバレッジ7.2倍利息の支払能力は十分

(出典:ハリマ化成グループ2026年3月期決算短信、2026年5月時点)

キャッシュフローの「質」

ここで注目したいのは、営業キャッシュフロー(+78.59億円)が、会計上の利益を上回る水準にある点です。これは、減価償却費(約30億円)などの非現金費用が加わっているためで、利益が着実に現金に変わっていることを示しています。

設備投資(約35.8億円)を差し引いたフリーキャッシュフローは約42.79億円となり、年間の配当(約10.2億円)を十分に賄える水準です。つまり、ハリマ化成グループは「現金が枯れる」タイプの企業ではないと考えられます。

ただし、営業利益率が3%台にとどまるため、原材料・為替・需要の変動に対しては、収益性が揺れやすい体質である点も同時に意識しておく必要があります。


9. FY2027ガイダンス|「増収増益」計画の見方

FY2027会社予想

指標FY2026実績FY2027予想増減率
売上高(億円)1,037.631,100約6.0%増
営業利益(億円)32.8335.0約6.6%増
経常利益(億円)29.9628.0約6.5%減
純利益(億円)23.4526.5約13.0%増

(出典:ハリマ化成グループ2026年3月期決算短信、2026年5月時点。詳細は決算短信原文をご確認ください)

配当は、年42円(中間21円+期末21円)の維持を計画しています。

ガイダンスの見方

ここで注目したいのは、営業利益が増益見通しである一方、経常利益はやや減益で計画されている点です。これは、FY2026の経常利益を押し上げた持分法損益・営業外収益の一部が、来期は剥落する可能性を織り込んでいると考えられます。

投資判断上の焦点は、この会社計画に対する上半期の進捗率です。会社が増益を計画する根拠が、本業の改善(特にLAWTERや電子材料の採算改善)にあるのか、それとも為替などの外部要因に依存しているのかを、四半期決算で見極める姿勢が重要です。


10. 投資判断のポイント|「低PBRの理由を解消できるか」

投資判断の3つの軸

ここまでの分析を踏まえ、投資判断のポイントを3つの軸で整理します。

軸1:「PBR0.67倍」をどう捉えるか

PBR0.67倍という水準は、見方によって評価が分かれます。

見方解釈
割安と見るLAWTERの黒字定着・電子材料の採算改善で評価見直しの余地
妥当と見る営業利益率3%台では現在の評価が妥当

PBR0.67倍を「割安」と見るか「妥当」と見るかは、低評価の要因(LAWTERの低収益性、電子材料の薄いマージン)が解消されるかどうかにかかっています。資産価値だけを見て「割安確定」と判断するのは、慎重さを欠く可能性があります。

軸2:時間軸の選択

時間軸投資の考え方
短期(3〜6カ月)四半期ごとのLAWTER・電子材料の採算
中期(1〜2年)LAWTERの黒字定着と電子材料の採算改善
長期(3〜5年)半導体実装材料のニッチが収益の柱になるか

軸3:ポジションを見直す目安

兆候注目ポイント
製紙用薬品のマージン悪化8%台の維持が崩れるか
LAWTERの再赤字化黒字定着が一時的だった場合
電子材料の利益率停滞2〜3%台から抜け出せるか
製造経費の上振れ原材料・エネルギーの逆風

重要なのは、ハリマ化成グループを「PBRが低いから割安」と単純化して判断するのではなく、「LAWTERと電子材料の採算が改善するか」という構造的な論点を四半期ごとに確認しながら、あらかじめ決めたルールに基づいてポジションを見直す姿勢です。


11. 四半期チェックリスト|「4つの監視軸」

必ず確認すべき4つの軸

ここまでの内容を、実際の運用に落とし込むためのチェックリストとして整理します。

確認項目注目ポイント
❶ LAWTERの営業利益黒字で定着するか(一時的か構造的か)
❷ 製紙用薬品のマージン8%台の維持
❸ 電子材料の採算レジスト用樹脂・はんだの利益貢献、3%台への定着
❹ 製造経費・為替原材料コストの逆風、円相場の影響

四半期ごとに、これら4つの軸を確認することで、低PBRの要因が解消に向かっているかどうかを判断する材料が得られます。


まとめ|ハリマ化成グループは「松やに」の低PBR銘柄、鍵を握るLAWTER正常化

銘柄の本質

ハリマ化成グループは、松やに(ロジン)を核とするパインケミカルを主力とする化学メーカーであり、製紙用薬品・樹脂という安定した収益の柱を持つ一方、PBR0.67倍という低い評価にとどまっています。その低評価の中心にあるのが、売上規模は大きいのに利益がほぼゼロのLAWTER(海外樹脂)事業です。

整理ポイント

ここで、本記事の整理ポイントをまとめておきます。

  • FY2026決算:小幅な増収だが、営業利益57.6%増、純利益207.5%増の利益改善
  • 利益改善の中身:販売数量・ミックス改善+為替、ただし持分法損益の反転も寄与
  • セグメント:製紙用薬品(8.8%)・樹脂(7.0%)が稼ぎ、電子材料(2.7%)・LAWTER(0.1%)が薄い
  • LAWTER:売上最大だがマージン0.1%、正常化すれば利益改善余地が大きい
  • モート:製紙・樹脂は中程度、電子材料はまだ薄い
  • 半導体ニッチ:後工程の実装材料・レジスト用樹脂、成長の種だが利益貢献はこれから
  • 財務:自己資本比率39.7%、FCFは配当を賄える水準

核心メッセージ

ここで、本記事の核心メッセージを改めて整理しておきます。

ハリマ化成グループは、松やに(ロジン)を核とするパインケミカルを主力とする化学メーカーです。FY2026は小幅な増収にとどまる一方、販売数量・ミックスの改善と為替の追い風で利益が大きく改善しました。ただし、PBRは約0.67倍と純資産を下回る水準にあり、その低評価の中心には、売上規模が大きいのに営業利益がほぼゼロのLAWTER(海外樹脂)事業があります。投資判断の焦点は、①LAWTERの収益性が構造的に改善するか、②電子材料(半導体実装材料)の採算が改善するか、③製紙用薬品の安定したマージンが維持されるか、の3点に集約されます。鍵を握るのはLAWTERの正常化であり、その黒字が定着すれば、低評価の要因が薄れ、評価の見直しにつながる可能性があります。

現在の株価水準をどう見るか

2026年5月時点で、ハリマ化成グループはPBR約0.67倍、PER約11倍、配当利回り約3.9%という水準にあります。この水準は、安定した製紙用薬品・樹脂事業の価値を一定程度織り込みつつ、LAWTER・電子材料の採算の薄さを反映した低評価だと考えられます。

もっとも、LAWTERの黒字が定着し、電子材料の半導体関連事業がマージンを伴って成長すれば、PBR1倍に向けた評価見直しが意識される可能性があります。一方で、LAWTERが再び赤字に転じたり、製造経費の逆風が強まったりすれば、現在の低PBRが妥当という見方が続く可能性もあります。

長期的には、ハリマ化成グループを「松やにから始まる再生可能素材のメーカー」として、製紙・樹脂の安定収益と、半導体実装材料という成長オプションの両面で捉える視点が重要です。そのうえで、四半期ごとに「LAWTERの採算」「製紙用薬品のマージン」「電子材料の利益貢献」「製造経費・為替」という4つの軸を確認し、低PBRの要因が解消に向かうかどうかを見極めていく必要があると考えています。


⚠️ 投資に関するご注意 本記事は公開情報に基づく分析コンテンツであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。記載の数値・投資判断の目安はあくまで一例であり、実際の投資判断はご自身のリスク許容度と投資方針に基づいて行ってください。すべての投資判断とその結果は投資家ご自身の責任となります。

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