チャットの返信で、こんな文章を受け取ったことはないでしょうか。
「A機能のテストをしてみたんですが、うまく動かなくて…先週から気になっていて、他の作業もあるので今週は難しいかもしれません」
読み終えたあと、こう思ったことはないでしょうか。
「で、私は何をすればいいの?」
悪気があるわけではありません。書き手は状況をきちんと共有したつもりでいます。でも、読む側には次のアクションが見えません。この「読んでも次の一手がわからない文章」を、ここでは仮に**「小説」**と呼ぶことにします。今回は、こうした「小説のような文章」を防ぐための、シンプルで効果的な考え方を整理します。
「小説」とは何か
仕事の文章における「小説」とは、書き手の状況や気持ちが中心で、読み手が「自分は何をすればよいのか」を判断できない文章のことです。
- 自分の状況や感情の説明で終わっている
- 相手に何を求めているのかが最後まで書かれていない
- 「報告」で止まっていて、「依頼」や「確認」になっていない
これは長さの問題ではありません。3行でも小説になりますし、逆に長くても、要件がはっきりしていれば読み手は迷いません。問題は分量ではなく、視点が自分に向いたままか、相手に向いているか、そこにあります。
前提として押さえておきたい3つのこと
伝わる文章を書くうえで、まず押さえておきたい前提が3つあります。
1. 人は、思っているほど文章を丁寧には読まない
相手が不真面目なわけではありません。チャットやメールが次々と届く仕事環境では、すべてを丁寧に読むのが難しいだけです。丁寧に書いたつもりの長文ほど、実は読み飛ばされやすいと考えたほうが安全です。
2. 相手に読んでもらえないなら、それは伝え方にも改善の余地があるということ
「きちんと書いたのに読んでもらえない」ではなく、「相手が読みやすい形になっていなかった」と捉え直す。この視点の切り替えが、実は一番大きな分かれ目になります。
3. 相手がメッセージを見た瞬間に、自分が次に何をすべきか分かる。これが理想です
読み終えてから「つまりどういうこと?」と考える時間そのものが、コミュニケーションコストです。読んだ瞬間に行動が決まる。それが理想形です。
だからこそ、必要に応じて箇条書きを使い、文末に「次に誰が何をするのか」を明示することが効果的です。
仕事の連絡は、3つの型のいずれかに絞る
仕事上のメッセージは、基本的には次の3つのいずれかに分類できます。逆に言えば、どの型にも当てはまらない文章は、たいてい小説になっているというサインです。
① 質問型
目的:相手に確認や判断を求めるとき
「A機能について、この認識で合っているかご確認いただけますか?」 「この部分で作業が止まっています。参考になる資料やフローがあれば教えていただけますか?」
② 依頼型
目的:相手に特定の行動や協力を求めるとき
「A作業を進めるため、Bサーバーの権限付与をお願いできますか」 「この件、担当の方をご案内いただけますか」
③ 情報共有型
目的:相手のアクションは不要で、事実だけを伝えるとき
「明日は有休のため、チャット対応が難しい時間帯があります」 「DB構成の変更に伴い、旧Aテーブルを参照していたサービスは利用できなくなります。対応は不要ですが、ご承知おきください」
冒頭のチャット例を、この型に当てはめて書き直すとこうなります。
「A機能をテストしたところ、〇〇の条件で動作しませんでした。今週中の修正は難しそうなので、リリースを来週に延期してもよいでしょうか? ご判断をお願いします」
同じ事実でも、「質問型」に整えるだけで、相手は読んだ瞬間に「延期してよいかどうか」を判断できます。これが、小説とそうでない文章の差です。
なぜ「小説」がチームを疲れさせるのか
特に、リモートワークや時差のあるチームでは、影響が大きくなります。
例えば「A機能、テストしたけどうまく動きませんでした」とだけ書かれたメッセージが来たとします。読んだ側は、
- バグ修正を頼まれているのか
- スケジュールが遅れる報告なのか
- まだテスト中で、続報を待てばよいのか
を推測するところから始めなければなりません。結局「それで、こちらは何をすればいいですか?」と聞き返すまで、作業は止まったままです。
この往復1回だけなら小さなロスに見えます。ただ、これがチーム全体で日常的に起きていると考えると話は変わってきます。確認のための確認が積み重なり、本来の作業時間が削られ、聞く側も聞かれる側も少しずつすり減っていく。特に対面で「あ、それってこういうこと?」とすぐ聞き返せない非同期のやり取りでは、こうした小さなストレスが蓄積しやすくなります。
送信前チェックリスト
メッセージを送る前に、次の3つだけ確認してみてください。
- [ ] このメッセージの目的が「質問・依頼・情報共有」のどれか明確か
- [ ] 文末に、相手または自分の次のアクションが書かれているか
- [ ] 相手が読み終えた瞬間に「で、どうすればいいの?」と思わない内容になっているか
今日から、1通だけ試してみる
いきなり全部のメッセージを変える必要はありません。今日これから送る1通だけ、送信前に「これは質問? 依頼? 情報共有?」と自分に聞いてみる。それだけで、文章の組み立て方が変わってくるはずです。
伝え方を変えることは、性格や才能の話ではなく、型を知っているかどうかの話です。次にチャット欄を開いたとき、まずはこの3つの型のどれに当てはまるかを意識してみてください。相手の「で、結局?」を減らすことは、そのままチーム全体の時間を守ることにつながります。
参考動画: 포프TV – 업무대화 중 소설 안 쓰는 방법


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